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割りの合わない新築マンション購入


新築マンションは、まっさらな土地の上に新たな建物を建てるので、最新性能の住宅設備が備えられ、耐震性も十分に確保された安心・安全な買い物に映ります。

 

しかし、新築であるがゆえにかかるコストも、買主が負担していることに注意しなければなりません。

 

一般的に新築マンションの価格には、分譲価格のうち約30%程度の経費が含まれているといわれています。

 

土地を仕入れるにあたっての諸経費、土地の整備費、土壌汚染や液状化がある場合はその対策費、既存建物の解体費、建物を建設する際にかかる近隣対策費、電波障害対策費、販売するための販売センターの設置費、維持管理費、販売会社に販売業務を委託する委託費、デベロッパーとしての本部経費などを積み重ねたうえで、利益分を上乗せして販売しています。

 

マンションとしての資産価値を保つためには、新築マンションの場合、建物の経年劣化を受けながらも、その減価する部分を上回り、さらに最初に負担している諸経費分を上回る価値向上が期待できなければ、マンションの資産価値を保つことはできないということになります。

 

ここ数年でマンションの値段が上昇し、値上がりの要因は五輪施設建設等に伴う特需と表現されることが多いのですが、実際のところは、建設従事者の減少と高齢化の問題のほうが大きい要因といえます。

 

日本国内では今、建設業に従事する若年層が急速に減少し、鉄筋工、型枠工などの高度な技能をもった建設労働者が高齢化により次々とリタイアしていく中、建設現場に人が集められない状況に陥っています。そのために人件費の上昇が生じています。

 

さらに、円安により、建設資材や原材料の多くを輸入に頼っているため、資材価格の上昇もマンション価格の上昇の要因になっています。

 

したがって、建設費の上昇に基づいた分譲価格の高騰は、今後の資産価値の上昇を約束することにはつながりません。

 

製品に例えていえば、原価に相当する土地・建物の価格に間接費用が上乗せられた新築マンションは、不動産価格という意味では必ずしもお得な買い物とはいえません。

 

これを喜んで買うという行為は、車を新車で買うという行為とほとんど同じ動機と言ってもよいかもしれません。つまり、見栄やプライドに近いものなのです。

 

住宅が量的に十分に供給されていないマーケットにおいては、新築物件を購入することもある意味「やむをえない」行為と言えますが、住宅ストックが満ち足りている現代において、いつまでも「割高」である新築マンションを追い求めるという行為は、理解に苦しみます。

 

マンションは築5年から10年の中古マンションを購入するのが一番お得だと言われております設備機器は、ほぼ最新のものですし、まだ、修繕や更新は必要としません。建物はすでに存在するので、新築物件を買う際のような「青田買い」に伴うリスクもありません。

 

新築マンションは見方をかえればギャンブルみたいなもので、いざ購入しても、隣人が「変態」な人であるリスクも存在します。どんなに良いと思われる物件でも、これでは毎日の生活が台無しになります。

 

建物は実際に竣工してみないと、わからない点が数多くあります。住戸の眺望や日当たりも、実際に住んでみないことには把握しきれないものです。中古であれば、事前に十分な調査を行うことが可能です。

 

中古住宅の購入であれば、取得に伴うコストも仲介業者に支払う仲介手数料が宅地建物取引業法で決められいますので、それい以上の負担はありません。