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マンション住人のペット問題

いまでは、ペットを飼うのが可能なマンションも存在しますが、多くのマンションではペットの飼育が不可ではないでしょうか。

 

当然、ペットに関するトラブルが発生することは多く、問題をさらに厄介にさせているのは、ペットを飼っている人を勘違いさせてしまう住人がいることです。

 

たとえば、エレベーターの中で、ルールを甘く見た人が小さなペットを抱えて乗っている。同乗した人がペットを見て「あら可愛いわね」と声をかける。ペットを抱えた住人はペット禁止のマンションで自分がペットを飼うことを認知されたと勘違いしてしまうでしょう。

 

ペット禁止のマンションでは、そのような甘い言葉は禁句です。ペットを飼っている人に「ダメです」と役員がいっても、AさんとBさんもペットを飼いたいといっていたなどと、下手な言い訳をして問題を複雑にしてしまいます。

 

マンション住人のほとんどは、犬や猫はそれほど嫌いではないと思います。しかし、規則を守らない人間が大嫌いなのです。規則を守らない人はマンションには住めません。

 

ところが、最近はペット問題も形が変わってきました。築20年を超えたマンションでは、子供たちが自立してマンションから出て行き、伴侶が先立ち、単身者になった住人が多く住んでいます。高齢化の進行です。

 

そんな単身者が散歩の途中に、泣いている子犬を見つけ、その子犬が尻尾を振って自分のところに来たとしましょう。きっと子犬を抱いてマンションに帰り、何日か餌を与えることになります。子犬はその単身者になつきます。

 

マンションの役員としては、そのような心情がよくわかるに違いありません。その単身者に「ペットはダメです」とはいいずらい。そんな鬼のようなことはできません。ですが、マンションはペット禁止です。困りました。

 

そこで、役員はそのペットをマンションに入れた単身者にやさしく「あなたは、そのペットを離すことはできませんね」と確認をとります。単身者は必ず、「ハイ」と答えるはずです。

 

そこで、役員は単身者に「私たちのマンションは、ペットを飼ってはいけないマンションです」と確認をとります。そのうえで、「でも、あなたの事情もよくわかりますので、あなたが飼っているペットをマンションは認めましょう。ただし、そのペットは一代限りですよ。写真を撮ります」といって、写真を必ず撮ることです。写真を撮らないと、ペットが変わる可能性があります。

 

そのうえで、「あなたがどうしてもペットを離せないのなら、管理費を二倍払ってください」というのです。そうすると他住人の方たちも納得するでしょう。

 

本当にそのペットが大切なら、管理費の二倍や三倍は本人にとって関係ないはずです。管理費が二倍になることを嫌がったり、文句をいう人はそれほどペットを大切だとは思っていないと判断し、はっきりと「ペットはダメです」といいましょう。

 

ペット禁止のマンションで胸を張ってペットを飼えるのだから、だいたいの方は喜んで管理費を二倍払うでしょう。まわりの住人も、管理費を二倍払うのだからマンションに貢献している人だと認識するのではないでしょうか。

 

ただし、もう一つ約束させることがあります。「もし、マンション住人の複数の方が、あなたが飼っているペットを迷惑だと判断した場合は、1週間以内に処分をする」ということです。

 

ペットは迷惑だという人が一人いたとしても、それは個人の感情的な問題だと判断できます。しかし、複数の人間が迷惑だと感じたら、それは感情からきた苦情ではなく、実際にそのペットが住人に迷惑をかけている可能性が高いからです。

 

そのような約束をさせることで、ペットの飼い主は真剣にペットの教育をします。住みやすいマンション生活が送れるようになるでしょう。役員としても、心温まる判断をしたと気分がようでしょう。

 

ですが、このような作業は、第三者である管理会社に指示して実践させたほうが、後々マンション住人同士の感情がこじれないので問題が少なくなります。