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エレベーター点検が高額な理由

マンション管理に係る経費の中では、管理人や清掃員に係る人件費が最も多いですが、その次にかかるのは、「エレベーター」に係る経費です。

 

日本のエレベーターの技術は世界一だと思います。アメリカのニューヨークには多くのビルが建ち並んでおり、その分エレベーターの数も多いですが、エレベーターが止まって降りるとき、エレベーターの箱と床との段差が、必ず2~5cmはあります。ニューヨークではそれが当たり前なので、そのことを注意したり文句をいう人は誰一人としていません。

 

日本では築後50年経ったビルでも、1mmの狂いもなくピタッと止める技術があります。この技術は日本だけのものです。

 

私たちが乗っている自動車は、時速200キロを出すこともできます。また、右に回ったり左に回ったりバックもできて、2年に1回の車検である。

 

世界で一番の技術をもつ日本のエレベーターは、ただ、上に上がって下に下がるだけである。それで、毎月の点検を要求してくる。無料ならかまわないが、高額の請求である。

 

日本の法律では「年に1回法令点検をすればよし」とあります。しかし、日本を代表するエレベーターの大手三社が、この法律に猛反対をしました。年に1回の点検ではメンテナンスに働く社員を失業させてしまうことになると政府に食いついたのです。政府も大手三社の口車に乗って一行付け加えました。その内容がこのようになっています。

 

「エレベーターの機械を30日に1回程度は見ることもある」

 

この一行で大手三社は天下を取ったような勢いになり、毎日、傷んでもいないエレベーターを点検し高額な料金を請求してくるのです。

 

マンション住人が、毎月点検しなくてもよいのではないかというと、大手三社は脅しにかかります。もしものことがあったら、あなたが責任を取れますかと。

 

エレベーターの点検は、2ケ月に1回とか、3ケ月に1回にしてくださいと、マンション住人がはっきりということが大切です。脅しに負けないマンション住人になってください。

 

仮に、毎月点検していたエレベーターの点検を2ケ月に1回にすると、それまで年間400万円かかっていた点検費が、その半分の200万円ですみ、浮いた200万円は積立金に回すことができます。

 

それで、文句を言われるのならエレベーター会社を替えればよいのです。独立系のエレベーター会社なら大手三社の半額で契約してくれるはずです。

 

 

エレベーターの保守契約には、フルメンテナンス契約とパーツ・オイル・グリス契約の2種類があります。

 

 

フルメンテナンス(FM)契約

〇契約範囲

点検・調整・部品交換のすべて含まれる。ただし、機械本体の取り換え、塗装、メッキ、かご床タイルなどの取り換えは契約範囲に含まれない。

 

〇値段

月々定額を払うため、実際にパーツの交換や修理を行われなくても、その分の費用も支払うことになる。逆に、修理箇所が多ければトクになることもある。

 

〇向いているマンション

部品交換や修繕頻度が増えてくる築後15年目以降のマンション。ただし、20年目以降のマンションでは大規模修繕工事の後でなければ契約できないという業者もいます。

 

パーツ・オイル・グリス(POG)契約

〇契約範囲

機能維持のための点検、清掃、給油、調整、消耗部品交換、品質検査などの保守管理に限定される。交換部品の範囲も契約で定められている。

 

〇値段

FM契約に比べて低く抑えられるが、契約外の部品交換や修繕費などは別途支払わなければならない。

 

〇向いているマンション

築年数が若く、部品取り替え、修理費用があまりかからないマンション。築後15年くらいまでのマンションに向いている。