我が国においては、エレベーター保守業者の9割以上が、エレベーターメーカーだといっても過言ではありません。ただし、昨今は、メンテナンス専門会社も台頭してきており、テレビCMなどもひんぱんに目にするようになりました。
保守料金は、保守業者間の競争が激化した結果、相場全体がかなり下がってきていますが、それでも、業者ごとに大きな開きがあるのも事実で、メンテナンス専門会社の場合、一般的に、メーカーと比較して保守料金は安くなります。
なかには、今でもフルメンテナンス契約で月に7万円以上、P・O・G契約で4万円以上の設定をしているメーカーがある一方で、メンテナンス専門会社のなかには、その半分以下の料金で実施しているところもあります。
ただし、保守業者を、料金が高いか安いかだけで判断しないほうがようでしょう。いざ故障した際には、メンテナンス専門会社とメーカーの間で、メーカー製の純正部品の調達力に差が出てしまうことも考えられます。
メンテナンス専門会社を選ぶ際には、その会社が、各メーカーの純正主要部品を、どれだけストックしているのか、という点に注目するといいでしょう。ちなみに、主要部品には、基盤まで含まれます。
また、メンテナンス専門会社のなかには、メーカー製の純正部品ではなく、オリジナルの部品を作って間に合わせているところもありますが、オリジナル部分の場合には、その精度が問題となる場合があることに、注意が必要です。
料金や部品の調達力以外に注意しなければならない点としては、いざというときの業者ごとの対応力の違いがあります。
なかには「大手メーカーのほうが、何かあったときには対応力があって安心だ」という人もいますが、一概にそうとは言い切れません。実際には、一人のメンテナンス要員が、何台の担当を持っているのかで、対応力が違ってくるのです。
一般的に一人当たり100~120台くらいのエレベーターを担当しているといわれていますが、なかには、100台未満で維持しているメンテナンス専門会社もあります。
地震などでエレベーターが止まってしまったときには、メンテナンス要員ごとの担当台数が少ないほうが、より早く駆けつけてもらえるでしょう。