他の士業と行政書士業務の比較

行政書士の業務は、非常に幅広いのが最大の特徴です。だからこそ、行政書士という仕事がわかりにくいとも言えるし、逆に可能性が大きい仕事とも言えます。

 

例えば、弁護士なら「裁判(裁判所)」、司法書士なら「登記(法務局)」というように、それぞれ「業務」と「場所」を言い表す代表的なキーワードを持っています。

 

ところが、行政書士の場合、業務、場所どちらもまさに様々です。そもそも「行政」という言葉自体、立法、司法以外の統治または国政作用の総称であり、あまりに広く、特定の難しい表現です。

 

行政書士法によると、行政書士は、他人の依頼を受けて報酬を得て、下記に掲げる事務を業とすることとされています。ただし、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができません。

 

① 官公署に提出する書類(電磁的記録を含む。以下同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること

 

② 官公署に提出する書類について、その提出の手続及び当該官公署に提出する許認可等に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(弁護士法第72条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するものを除く)について代理すること

 

③ 契約その他に関する書類を代理人として作成すること

 

④ 行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること

 

 

 非常にわかりずらいですね。具体的に言えば、下記ののとおり分類できます。

 

①官公署への許可・認可申請書の作成

何かの営業を行うのには、許可・認可が必要なことが多くあります。そのため申請書も必然的に相当多数あることになります。(その種類は1万種類以上といわれています。)

 

行政書士は、これらの、省庁、都道府県庁、市役所・区役所などいわゆる役所に提出する書類について、相談、作成、提出の代理を業として行います。

 

例えば、建設業、宅地建物取引業、産業廃棄物収集運搬業、一般貨物運送業、旅客運送事業、倉庫業、風俗営業、旅館業、食品営業、酒類販売業、旅行業、古物営業、探偵業、貸金業、警備業、外国人在留・帰化などの許可・認可の申請

 

②権利義務に関する書類の作成とその代理・相談

権利義務に関する書類とは、権利の発生、存続、変更、消滅の効果を生じさせることを目的とする意思表示を内容とする書類のことを言います。

 

権利意識の高まりとともに、後のトラブルを避けるため、契約書など権利義務に関する書類の作成が重要視されてきています。

 

しかし、そのためには、高度な専門知識が必要であり、行政書士は、こうした書類について相談、作成・提出の代理を業務として行います。

 

例えば、遺産分割協議書、各種契約書(贈与・売買・交換・消費貸借・使用貸借・賃貸借・雇用・請負・委任・寄託・組合・終身定期金・和解など)、念書、示談書、協議書、内容証明、告訴状、告発状、嘆願書、請願書、陳述書、上申書、始末書、定款など

 

③事実証明に関する書類の作成とその代理・相談

事実証明に関する書類とは、社会生活にかかわる交渉を有する事項を証明するにたる文書を言います。

 

行政書士は、こうした書類について相談、作成・提出の代理を業務として行います。

 

例えば、実地調査に基づく各種図面類(位置図、案内図、現況測量図など)株式会社や一般社団法人などの各種議事録、会計帳簿、申述書など

 

そして、これからは、こうした従来の書類作成、代理、相談業務だけでなく、情報化社会における高度な行政手続きサービスや社会情勢の複雑・高度化に伴い、コンサルティング的要素が必要不可欠になってきています。